コロナ禍での経営 短期的な対策

新型コロナウイルス感染症は、緊急事態宣言と緩和を繰り返しながら沈静化には数年を要すると考えられます。短くて見積もっても2年(緊急事態制限が不定期に断続的に発令される状態)、長ければ3~5年は経済活動が停滞する怖れがあると考えます。

1.まずは事業所内、営業時の感染を防ぐこと


緊急事態宣言が全国に発令されてなお感染症対策への危機意識の低い事業所や店舗が散見されます。
そのために行うべき対策はすでに耳にたこができるほど聞かされています。

  • 人と人の接触を減らす取り組み
  • 必要最小限の接触時に感染リスクを減らす取り組み
  • 感染防止に必要なマニュアルの整備、道具の導入等

けれど、これらのことが現場に即して落とし込みをできている事業所は少ないように見受けられます。

できていない現場では…

  • 換気ができていない。空気の淀みが実感できる。空気感染のリスクはそれほど高くないにしても怖い。換気とは持続的に空気の流れをつくること。小さな窓であっても東西に空いているのが理想です。
  • ドアノブ周囲に減菌対策(消毒薬の設置など)が施されていない。それだけで来訪者が入室を躊躇します。
  • 顧客との面談時の距離の設定、もしくは呼気を遮断する装置が置かれていない。
  • マスクを着用していない。口や鼻が口からはみ出している。
  • マスクがないため再利用したマスクを各自が使っている。再利用マスクは現時点では正しい選択ですが、再利用の際の減菌法を的確にやれているでしょうか?
  • 未だに面談形式の会議を行っている。
  • 減菌に貢献する装置を設置しているが科学的な根拠があいまいなまま設置していることに安心してしまう(空間除菌装置など)。

このままでは以下のような状況が発生する可能性が高くなっています。

  •  感染が発生して事業停止の怖れ
  •  感染源となって従業員や顧客の健康侵害を起こす恐れ
  •  風評被害で資金繰りが行き詰まる怖れ

徳島県内の飲食店・食品製造販売の事業所を見ると(2020年3月~4月)、大幅に落ち込んだ店舗やすでに休業している店舗がある反面、ほとんど影響がない飲食店に二極化されていることを確認しています。


この原因を考えるためには、正しい感染対策を徹底して実行していること、そのことを来店客に周知啓発している事業所は売上の影響が少ない(なかには前年比で増加している店舗も)と考えます。

この現象をもっと掘り下げて考察するなら、普段から顧客に気配りをしている店舗は上質の顧客層(マナーなどが洗練された質の高い顧客層)が多いことに気付きます。類は友を呼ぶは小売業やサービス業の典型的な現象です。

普段から気配りの行き届いた店では顧客が店の方針を理解するとともに多少の不便を喜んで受け容れるばかりか、安全対策を積極的に行う事業所を評価しているのではないでしょうか。

自粛要請が出ている現況であっても感染症対策を徹底的に行い、来訪者も自分たちも安全を確保して営業を続ける選択肢は尊いと思われます。
言い換えれば、正しい認識に基づいてコロナ対策を実行し、それを報せて、信頼を得ている事業所です。そのような事業所が休業しても顧客は再開を待ち望むことでしょう。

勘違いされる方はいらっしゃらないでしょうが、特に感染症対策を行わずに開き直って営業している店舗も散見されます。また、割引価格を訴求するキャンペーンを行っている大手FCもあります。営業努力は尊いのですが、テイクアウトのときに入店したあるチェーンでは感染対策ができていませんでした。3密に加えて手からの接触感染は不可避と思われるほどでこの店から感染者が出る可能性は高いと思わせるものでした。

飲食店は短時間に集中する業種であることからわかっていても店の対策ができないなどとあきらめないでください。正しい手順を示して顧客にも参加してもらうことです(手指の消毒はその基本です)。

人が集まって売上となる業者では根本的な対策がない業種があります。その場合は、本業以外で事業所が収益を上げられる分野を見つけて営業するか、コロナ禍のなかで働き手が不足している事業所などに従業員が出稼ぎに従事することなどが考えられます。

出稼ぎの際に給与や社会保険の扱いはどうなるかについては、従業員の生活を確保できるベーシックインカムなどの実行を前提に人件費の支出を一時止められる制度などが求められます。

まずは個々の人間として感染症対策を徹底して行うことです。厳しい言い方をすれば生き延びるための行動を組織がマニュアル化して実施することです。そのためにはひとりよがりにならないよう、外部専門家の視点が不可欠でしょう。

2.公的な支援策

その1 融資

すでに資金繰りはひっ迫している事業所が続出しています。ただし融資でつないでも赤字補てん分であること、この先の状況が急激に回復するとは思えないことから借り入れた分の返済ができるかどうかが不安です。

→ 経済産業省新型コロナウイルス対策Webサイト

その2 給付金

融資と異なり返済の必要がないのが給付金です。現時点で中小企業・小規模事業者のための持続化給付金です。

→ 中小企業庁Webサイト 

対象となる事業者について
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者が対象です。

資本金10億円以上の大企業を除き、中堅、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者を対象とする予定です。また、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人についても幅広く対象とする予定です。

給付金額の計算方法について(売上の期間等)。
給付額は、原則、法人:200万円、個人事業者等:100万円
ただし、前年からの売上の減少分(計算式は以下のとおり)を超えないものとする。

■減少分=(前年の総売上(事業収入))-(前年同月比▲50%月の売上×12か月)
※上記を基本としつつ、昨年創業した方などに合った対応も引き続き検討しています。
※2020年1月から2020年12月のうち、2019年の同月比で売上が50%以上減少したひと月について、事業者の方に選択いただきます。

経済産業省ホームページ/新型コロナウイルス感染症関連
https://www.meti.go.jp/covid-19/index.html

四国経済産業局ホームページ/新型コロナウイルス感染症関連
https://www.shikoku.meti.go.jp/02_soshikiinfos/00_common/covid-19/index.html